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電気陰性度


概要

「電気陰性度」とは、ずばり元素がどれだけ電子が好きかの度合いのこと。もう少し正確に言えば、分子内の原子が電子を引きつける強さの相対的尺度です。

電気陰性度_1.png

電気陰性度が大きい元素は非金属、小さい元素は金属の性質を持ちます。電子の好き嫌い(電気陰性度)で結合の性質が決まり、結合の性質で金属か非金属かが決まるから、元を辿れば電気陰性度で金属・非金属が決まるわけです。

電気陰性度の定義には「ポーリングの電気陰性度」や「マリケンの電気陰性度」などがあります。

詳細

電気陰性度とは

元素の種類が違えば、たとえば原子核の電荷の大きさ(*注1)や原子半径によって、最外殻電子を引っ張る力の大きさが変わります。この力の違いを表したのが電気陰性度です。

まず結論からいえば、電気陰性度は周期表の右上ほど大きく、貴ガスには定義されません

電気陰性度_2.png

受験的には電気陰性度の大小は、

金属

くらい覚えておくと良いです。ちなみに実際にはの間くらいにもっとたくさん非金属元素があります。

では話を戻し、なぜ周期表の右上が大きいのかを考えてみます。ここでは「イオン化エネルギー」と「電子親和力」を思い出してみましょう。

まずイオン化エネルギーは電子を引っこ抜くのに必要なエネルギーのことで、周期表の右上ほど大きいのでした。電子を引っこ抜くのが右上の元素ほど大変ということは、電気陰性度も右上ほど大きいイメージが湧きますね。

次に、電子親和力は電子を与えたときに放出するエネルギーのことで、周期表の右上ほど大きいのでした。右上の元素ほど電子を与えたら熱を放出して安定になるということは、電気陰性度も右上ほど大きいイメージが湧きますね。

また電気陰性度は「結合を作ったときに、他の原子と比べてどのくらい電子を引っ張る力が強いか」なので、原則化合物を作らない貴ガスには定義されません。

電気陰性度の定義

ふわっと「電子を引っ張る強さ・電子の好き嫌い」と言えば簡単ですが、具体的に数値化するとしたら何を測定すればいいか難しいです。そこで電気陰性度には複数の定義があります。一応紹介しますがあまり覚えなくても大丈夫よ。

(1)ポーリングの電気陰性度

物質の結合が全て共有結合だと仮定して、結合エネルギーから計算で値を導くのがポーリングの定義です。具体的な計算式は複雑だから省略。

(2)マリケンの電気陰性度

先ほど言ったイオン化エネルギーと電子親和力との関係から、2つの平均値を電気陰性度とするのがマリケンの定義です。式で書くならこんな感じ。

ただし電気陰性度を、イオン化エネルギーを、電子親和力をとしました。

電気陰性度が役立つ場面

(1)極性の判断

電気陰性度の差によって、共有結合の電子対が電気陰性度の大きい原子側に引きつけられることで「極性」が生じます。

電気陰性度_3.png

(2)結合の判断

電気陰性度が大きいもの同士は、電子対をお互い強く引っ張ってガチガチに硬い結合を作ります。これが「共有結合」です。一方で、電気陰性度が小さいやつは電子がいらないからその辺に放り出して自由電子が発生してきます。この結果できるのが「金属結合」です。このように結合の性質が変わります(*注2)。

また以下のように、酸性・塩基性の違いも電気陰性度で考えられる場合もあります。

電気陰性度_4.png

(3)酸化数

電子がどれだけ不足/過剰かの値が「酸化数」です。酸化数は電気陰性度の大きい原子が電子を奪い取ったと仮定したときの電荷の大きさです。

電気陰性度_5.png

例えば、電気陰性度が全元素中2番目に大きい酸素が結合すれば、ほぼ間違いなく電子を奪われてしまい結合された原子は酸化数が大きくなります。

電気陰性度_6.png

(4)その他

他にも無機・有機の様々な物質の性質を説明するのに役立ちます。 「金属は電子が嫌い、非金属は電子が好き、特にあたりは電子大好き野郎」 くらい雑でいいので頭に入れておくと便利です。

補足

  • (*注1)原子番号が増えるにつれて原子核の電荷は+1されるのだから、最外殻電子に働くクーロン力も比例して増えていきそうなものですが、実際には違います。原子核のプラス電荷が最外殻電子を引っ張るとき、同時にその他の電子と最外殻電子が反発してしまうからです。つまり、純粋に原子核と引き合う力よりも小さな力になるわけです。 このように、他の電子の影響も考慮した結果最外殻電子に実質的に力を与えるプラス電荷の大きさのことを「有効核電荷」といいます。今回は説明のために単に原子核の電荷と書きましたが、実際はもう少し複雑なことが起こっています。
  • (*注2)詳しくは「共有結合」「金属結合」「イオン結合」のそれぞれのページをチェック!

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