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同素体


概要

「同素体」とは、同じ元素からなる単体だけど構造が違う物質同士のこと。もっとざっくり言うなら、部品は一緒なのに組み立て方が違うやつらのこと。

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たとえば同じ酸素が部品でも、2個繋がった酸素分子と3個繋がったオゾン分子は構造が違うので互いに同素体です。また同素体は「単体」の中の分類なので、たとえば同じ炭素と酸素からなる「化合物」の一酸化炭素と二酸化炭素は同素体とは言いません。

同素体は分子・結晶の構造が互いに異なるので、物理的性質(硬さ・融点・沸点など)と化学的性質(どんな反応を起こすか)が異なります。たとえば同じ黒鉛とダイヤモンドは両方炭素の同素体ですが、見た目も性質も全く違いますね。

ちなみに似た言葉に「同位体」がありますが全くの別物です。不安だったら同位体も確認しとこ。

詳細

大学受験で覚えたい同素体を持つ元素は硫黄、炭素、酸素、リンの4種類だけ!「SCOP(スコップ)」で覚えておきましょう。

硫黄の同素体

覚えておきたい硫黄の単体は斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄の3種類。

硫黄が8粒つながってできる分子が集まった分子結晶のうち、結晶構造の違いで生じるのが斜方硫黄と単斜硫黄です。一方、硫黄原子が一直線に大量に繋がってできるのがゴム状硫黄です。

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常温常圧で一番安定なのが斜方硫黄です。95℃以上に加熱すると単射硫黄に変身しますが、放っておくと安定な斜方硫黄に戻っていきます。また250℃まで加熱すると分子同士がつながって、巨大分子のゴム状硫黄が生じます。

炭素の同素体

覚えておきたい炭素の単体はダイヤモンド、黒鉛(グラファイト)、フラーレン

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共有結合結晶であるダイヤモンドは、硬くて電気を通しません。しかし黒鉛も共有結合からなるにもかかわらず、例外的に軟らかく、電気を通します。詳しい理由は無機化学で勉強しよう。

酸素の同素体

覚えておきたい酸素の単体は酸素、オゾン

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酸素はお馴染みの気体ですね。オゾンは特異臭をもつ淡青色の気体で、酸素よりも酸化反応を起こしやすいです。

リンの同素体

覚えておきたいリンの単体は黄リン、赤リン。キリンじゃなくてオウリンね。

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黄リンは超危険な物質! 有毒なのに加え、発火点がとっても低いので空気中の酸素と反応して温まるとすぐに発火してしまいます。だから空気に触れないように水中に保存します

一方、赤リンは安定な物質なので、毒性もないし発火することもありません。

補足

  • 受験メモ山本の同素体の動画も合わせてチェック!
  • 覚え方はSCOPだけど、実際スコップは英語でscoop。発音もスクープ。
  • 友達に「黒鉛って〜」と話をふられたときは、「黒鉛?ああ、グラファイトのことね」というとできる人感を演出しつつ嫌われることができます。

細かすぎる補足

  • 受験で覚えるべきはSCOPだけですが、もちろん他にも同位体はたくさんあります。たとえば鉄は常温で体心立方格子の結晶構造ですが、高温にすると面心立方格子になったりします。これらも結晶構造が違うので同素体です。
  • 純粋なゴム状硫黄は黄色、不純物が混ざると褐色になります。昔の教科書にはゴム状硫黄は褐色だと書かれていましたが、ある高校生が実験によって純粋な硫黄なら黄色になることを確かめ、教科書が書き換わることになりました。純度99%の硫黄だと褐色になるけど、純度99.5%くらいまで上げると黄色になるらしい。
  • 酸素を冷やしまくって液体にすると、オゾンと同じ淡青色になります。あと実は酸素には磁性があって、液体の酸素に磁石を近づけるとくっつきます。すごいですね(小並)。
  • 実は黄リンの正確な名前は「白リン」です。白リン分子のみからなる結晶は白色で、そこに赤リンが不純物として混ざると黄色い見た目の黄リンになります。つまり正確には黄リンは混合物です。今後教科書が書き換えられることになったらこの記事も書き換えますね。同素体_4.png

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