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電場


概要

物理の中でもよくわからん用語ランキング常連の電場について。

とてもイメージがしにくい概念で有名だが、定義を押さえて演習していくうちにつかめるようになるので、日本語でも理解してみながら、粘り強くやっていこう。

まず、クーロンの法則で見た通り、離れた点電荷間には静電気力(クーロン力)がはたらく。離れているのに、この力はどうやって伝わるのだろうか?(マリアナ海溝よりも深い話になっていくので、詳しくは補足で)

これに対して、離れた電荷があったときに、「電荷は自分の周りの空間に「場」を作り出しており、それによって他方の電荷に力を及ぼす」と考えて出てきた概念が電場である。

つの電荷があったら、どちらも自分の周りの空間に電場を作り出していて、力を及ぼし合っている。そこにもう一つ電荷を加えると、また力を受けるし、加えた電荷がまた電場を作り出すので、元々の電荷にはたらく力も変わってくる。電場というのは、そういうクラス内の人間関係のようなもの。

数式を使った定義としては、ある点 に置かれている電荷 に力 がはたらくとき、点 の電場

と定義する。電場を考える点に置かれた電荷で割ることに注意。分母を払った形である、

もよく使う。重力 と似ているので、覚えやすい。

大事なのが、力はベクトルなので、電場はベクトルだということ(電荷には正負しかない)。なので、成分に分けて計算することもできる。

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電場のイメージがやっぱりわかりにくい! 動画でイメージしたい!という方は、みっきーさんの動画や、受験メモ山本さんの動画がオススメ!

点電荷が作る電場

クーロンの法則をながめてみよう。 の点電荷 の点電荷 つの点電荷が距離 離れているときに、両者にはたらく静電気力 は、

で表される。ここで点電荷 に注目して、この力を 「点電荷 が周りに作り出した電場によって、距離 のところにある点電荷 が受けた力」 と考えてみよう。すると、電場の定義から、

と求めることができ、これが、点電荷 が距離 のところに作る電場である。(電場を考える点に置かれている の電荷で割る。電場を作り出している で割らないように注意!)

このように電場においては、何がどこに作り出す電場なのか、そしてそれはどうやって求めるか、が大事になる。

もちろん、点電荷 に注目して、「点電荷 が周りに作り出した電場によって、距離 のところにある点電荷 が受けた力」と考えることもできるので、それで点電荷 が距離 のところに作る電場を求めてみよう。

重ね合わせ

電場の重ね合わせ、という言葉があるが、これはつまり電場はベクトルなので、ベクトルの足し算などができるよ、というだけのお話。

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補足

少しマニアックな話になってしまうが、静電気力がどうやってはたらいているかについての議論には、歴史がある。

まず、ニュートンが万有引力を発見した時代には、離れた物体の間に直接力が作用するのは、まあそういうものだ、頑張ってはたらくんだろう、として受け入れられていた(この考え方を遠隔作用という)。

しかし、クーロンが静電気力を発見した際に、この力がどうやってはたらくのかを考えていたファラデーという学者が、「帯電体の周りの空間はゆがんでいて、そのゆがみが場という形で伝わり、他の帯電体に力を及ぼす」と考えて、静電気力を理解しようとした(この考え方を近接作用という、つまり上で学んだ電場の考え方)。

さて、静電気力は遠隔作用の力なのか、近接作用の力なのか、議論が起こるわけだが、1888年、ヘルツによって空間を伝播する電磁波が発見されたことにより、近接作用に軍配が上がり、決着がついた。

ちなみにその後、万有引力も近接作用の力なんじゃね?という議論が起こり、天才アインシュタインが一般相対性理論を提唱し、万有引力も近接作用であるという認識で決着した。

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