原子量
概要
「原子量」とは、ざっくり言えば原子の質量のこと。ただし、たとえば
たとえるなら「ディズニーランドの面積は
ただし以上はかなりざっくりした説明。詳しくは以下で確認していきましょう。
詳細
原子量をもう少し正確に硬い言葉で言えば、一定の基準によって定めた原子の「相対質量」を同位体比で平均したものが原子量です。何言ってるか意味不なので順番に説明していきます。
相対質量
先ほどの説明の通り、原子は小さすぎて質量が扱いづらいです。そこで
具体例として
の関係が成り立ちます。後は比の計算をすれば、
となります。よって
原子量
化学で物質の質量を考えるときには、同位体を区別せずに1種類の元素として考えます。たとえば自然界の水素は約99.99%の
そこで元素の相対質量は、同位体の存在比を考慮した相対質量の平均値を使います。これを 「原子量」 といいます。
具体例として水素の原子量を求めてみましょう。相対質量1.01の
が水素の原子量です。
例
【問1】
【答1】求める相対質量を
【問2】塩素原子の同位体である
【答2】原子量の定義に則って平均値を計算すれば、
補足
- 受験メモ山本の原子量の解説動画もチェック!
- キティちゃんの身長はリンゴ5個分、体重はリンゴ3個分、というのも相対的な数え方の一例です。
- 原子の質量はほぼ質量数(陽子数+中性子数)で決まるので、
の相対質量を質量数の12としておけば、他の原子も質量数に近い値になることが予想できます。質量数と相対質量が同じならなんとなく扱いやすいですよね。 - 原子量を相対質量を同位体比で平均値で考えられるのは、自然界での同位体の存在比がほぼ一定だからです。
細かすぎる補足
- 「なぜ
を基準値12とするのか」が気になる人もいますよね。原子量の定義には歴史的経緯がいろいろありますが、ある時点では酸素を基準値16として相対質量を考えていました。酸素は多くの物質と化合物を作るため、酸化物の質量を測定することで様々な物質の原子量を測定できたからです。ただし実は当時はまだ同位体が発見されていなかったため、相対質量と原子量に区別はありませんでした。 そして20世紀前半に同位体が発見されることで原子量の定義が揺るぎ始めます。いままで1種類の酸素を基準としていたつもりが、実際には 、 、 が混ざっていたのです。これは化学者にとっては大きな問題ではありませんが、原子1粒1粒を考える物理学者にとっては大問題でした。これを受けて物理学者は原子量の基準を に置き換え、各原子の原子量を定めていくことになります。そして化学者が使い続ける従来の原子量を「化学的原子量」、物理学者が使い始めた新しい原子量を「物理的原子量」と呼んで使い分けるようになりました。 しかしやはり異なる基準があるのはとーーってもややこしいですね。そこでこれらを統一して1つの定義にする動きが出てきます。原子量が考え始められた当時と違い、原子の構造や周期律がわかってきていますから、たとえば陽子1個からなる水素 を基準にするなども考えられると思います。ただそうするとせっかく今まで測定してきた化学的原子量と物理的原子量から値が大きくずれてしまい、それにともなって原子量を用いて計算されていたあらゆるデータを書き換える必要が出てきます。他にも留意事項はさまざまありましたが、結果的には が基準として選ばれることになります。 であれば今までの原子量と大きくはずれず、データを書き換える必要はありません。 以上のような歴史的経緯から が基準になっているんですね。 - もちろん実際には同位体の存在や質量比較のしやすさなど複合的な理由から
が選ばれています。一言でこういう理由で と断言できるようなものではないということです。