ローレンツ力
概要
磁場の中に電流が流れると、電流は磁場から力を受ける(ピンとこない方は、先に「電流が磁場から受ける力」の辞書を参照)。
電流はそもそも電荷が動いたものであるから、ということは、電流は磁場から受ける力の正体は、動いている電荷に磁場からはたらく力だと考えられる。この力をローレンツ力と一般に呼ぶ。電流が磁場から受ける力をもとに、このローレンツ力の向きや大きさを求めてみよう。
結論から言うと、一様な磁束密度
となる(電流が磁場から受ける力(アンペール力)と区別して、小文字の
ローレンツ力の向き
電流の定義から、電流の向きと正電荷の動く向き(つまり速度の向き)は同じなので、ローレンツ力の向きと、電流にはたらく力の向きは一致する。よって、ローレンツ力は速度にも磁束密度にも垂直にはたらき、電流が磁場から受ける力で考えたように、フレミングの左手の法則により向きを定めることができる。
下のように左手でチェケラッチョみたいな指の形を作って、中指を電流、人差し指を磁場の向きに合わせたときに、親指の向く方向が力の向きとなる。
中指から、頭文字を取って「電・磁・力」と覚えることが多いが、テスト中に言葉を出さないように注意しよう。
他にも、
- 電流の向きから磁場の向きに右ねじを回したときに、ネジが進む方向が力
- 電流の向きから磁場の向きに右手の親指以外の指を回したときに、親指の向く方向が力
というように、右ねじの法則を応用しても考えることができる。
ローレンツ力の大きさ
電流が磁場から受ける力では、一様な磁束密度
で表された。ここで、電子の電気量を
と表される。(証明は電流の辞書を確認!)
導線の長さ
なので、電子1個が受けるローレンツ力
となる。よって一般に、電気量
と求められる。(負の電荷の場合も、この式に代入して絶対値をとればローレンツ力の大きさは求められる。向きについては、上で求めたローレンツ力の向きを逆向きにすれば良い。)
また、大事なこととして、
(※ 発展)ベクトルの外積を学んでいる方は、ローレンツ力は
で向きと大きさが決まると、スッキリ理解しておこう。外積について学んでみたい方は、このCSS高校物理さんの動画がオススメ。
さらに、電場から受ける静電気力も含めた合力の形で、電荷にはたらくローレンツ力と呼ぶことも多い。つまり、
と、電荷が電場や磁場から受ける力をスッキリ表すことができる。
補足
大事な補足として、ローレンツ力は運動方向(つまり速度)に垂直であるので、電荷に対して仕事をしない。
これは、荷電粒子の運動の問題でとても大事になってくるので、是非押さえておこう。
また、電流が磁場から受ける力(アンペール力)との関係の補足として、どっちもはたらいてる、と考えるより、同じ現象に対して違う見方をしているだけ、と捉えるのが正しい。