副助詞
概要
ここでは、副助詞の種類と意味、判別について学ぼう。まずは主な副助詞の一覧から。
だに
だにの意味の識別はよく出てくるので押さえておこう。下に付く語の意味で判別できる。
- 下に、まして・否定語が来る → 類推
- 下に、命令・願望・意志・仮定が来る → 最小限の限定
類推は、程度の軽いものをあげて、程度の重いものを否定的に類推させる意味になる。
- 例文:蛍ばかりの光だになし(竹取物語)
- 訳文:蛍ほどの光さえない(→ 普通の明かりなんてもってのほか、という類推)
最小限の限定は、下にある命令・願望・意志・仮定(未然形+ば)の表現を見逃さないようにしよう。
- 例文:ここにも心にもあらでかくまかるに、昇らむをだに見送り給へ。(竹取物語)
- 訳文:自分も心になくこのようにおいとまするのですから、せめて(天界に)昇るのだけでもお見送りください。
さへ
ある事柄に、さらにある事柄を付け加える意味を表す。「…さえ」と訳さないように。
- 例文:羽風さえその身のほどにあるこそいとにくけれ。(枕草子)
- 訳文:羽風までも分相応であるのが嫌なものである。
※「こそ」と「にくけれ」で係り結びの法則が発動している。
のみ
一つのものに限定するのか、一つのことを強調するのか、訳しわけに注意しよう。
限定
- 例文:花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。(徒然草)
- 訳文:桜の花は満開のときに、月はかげりがない満月のときにだけ見るものであろうか、いや、そうではない。
※「かは」は係り結びの法則が発動するはずだが、ここでは結びの省略が起こっている。
強調
- 例文:月・花はさらなり、風のみこそ、人に心はつくめれ(徒然草)
- 訳文:月や花は言うまでもないが、風はとりわけ、人に感動の気持ちを起こさせるようだ。
※「こそ」と「めれ」で係り結びの法則が発動している。「めれ」は助動詞「めり」の已然形。
ばかり
大体の目安を表す程度の意味と、一つのものに限定する意味とで、割と違う意味を表すので、判別はしやすい。
程度
- 例文:三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。(竹取物語)
- 訳文:三寸ぐらいの人が、とてもかわいらしい様子で座っている。
※有名な竹取物語の序文。竹取の翁が、光る竹を見つけたときのお話。自分だったら怖くて警察呼んじゃいそう。
限定
- 例文:月ばかりおもしろきものはあらじ。(徒然草)
- 訳文:月ほど興あるものはあるまい。
※「じ」は助動詞「じ」で打消推量を表す。。
補足
他の副助詞としては、以下のものがある。
- すら:類推(「だに」と違って、特殊なものをあげて類推させる意味)
- し・しも:強意
- まで:範囲・限定・程度
- など・なんど:例示・引用・婉曲
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