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電流が作る磁場


概要

デンマークのエルステッドは、導線に電流を流すと、周りにおいた磁針が触れることを発見した。これは、電流は周囲に磁場をつくることを意味している。電気現象と磁気現象が結びついたという意味で、電磁気学において、とても大事な意味を持つ。

磁場の向きは、右ねじの先端の進む向きを電流の向きに合わせたときの、右ねじの回る向き、となる。おなじみの右ねじの法則である。右ねじに人生で接したことがない、という方もいると思うので、現代版としてペットボトルで考えよう。フタを閉めるときに、フタが進む向きを電流の向きに合わせたときの、フタの回る向きが磁場の向きとなる。もしくは右手で考えて、親指を電流の向きに合わせたときの、残りの指の回る向きが磁場の向きとなる。

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実際に電流の周りの磁場の式を出していくには、高度な数学が求められるため、高校物理の範囲では、代表的な3つのケースについて、結論を覚えておくことが求められる(物理基礎では比例・反比例関係だけ押さえておけばOK)。

  • 直線電流が作る磁場:
  • 円形電流が作る磁場:
  • ソレノイドの電流が作る磁場:

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証明には、ビオ・サバールの法則というものが必要になるが、ベクトルの外積を用いており高校数学の範囲を超えてくるので、興味のある方は ビオ・サバールの法則の辞書 を見てみよう。

参考までに動画での解説も紹介。

直線電流が作る磁場

十分に長い導線を考えて、この導線に流れる直線電流の周りに、砂鉄をまいてみると、同心円状に磁力線ができていることがわかる。

この磁場の強さ は、電流 に比例し、導線からの距離 に反比例する。

この式から、右辺の単位が であるので、 の次元は等しいことがわかる。

思い出し方としては、磁場の強さ を1周足し合わせると、合計が電流の強さ になる、と理解しておくと良い(アンペールの法則)。

円形電流が作る磁場

円形の導線に流れる電流が作る磁場は、それぞれの電流の断片が、右ねじの法則より下の左図のような磁場を作り出すので、それらを重ね合わせるとイメージがわく。

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半径 の円形の導線に電流 が流れるとき、導線からの距離 円の中心での磁場の強さ は、

で表される。直線電流と違って、分母に が入らないので注意。

巻き数 のぐるぐる巻かれた円形コイル(ソレノイドではなく、同じ位置でぐるぐる巻かれているイメージ)では、中心での磁場の強さも 倍となる。

ソレノイドの電流が作る磁場

導線を密に巻いた、十分に長い円筒状のコイルソレノイドという。ソレノイドに流れる電流ももちろん磁場を作り、円形電流と同様に、それぞれの電流の断片が右ねじの法則に沿って磁場を作り出すので、それらを重ね合わせるとイメージがわく。

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特徴としては、

  • ソレノイドの内部:軸に並行で一様な磁場ができる
  • ソレノイドの外部:ほとんど磁場は存在しない(打ち消し合う)

ソレノイド内部の磁場の強さ は、流れる電流を 、単位長さあたりの巻数を  とすると、

となる。

円形電流と違って、ソレノイドのコイルの半径にはよらないので、注意しよう。

※(発展)問題になることはほとんどないが、実はソレノイドの両端での磁場の強さは、

となり、コイル内部の磁場の強さの半分になる。同じソレノイドを連結すると、重ね合わせて内部の磁場となることから、確かに納得できる。

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