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万有引力


概要

一般に2つの物体は常に引力を及ぼし合っており、その大きさは両者の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する。この引力のことを万有引力という。

2つの物体の質量を 、距離を とおくと、万有引力は次の形で表される。

ただし、 は物体によらない定数で、万有引力定数と呼ばれ、その値は

である。

背景

ケプラーがケプラーの法則を発見してから約半世紀後、ニュートンは、惑星が公転するのは太陽による引力のためだと考えた。この引力を求めてみよう。

惑星の運動を考えてみる。惑星の公転軌道を近似的に円だと考えると、ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則) より、それは 等速円運動 になる。

太陽が惑星に及ぼす引力を 、惑星の質量を 、角速度を 、軌道の半径を とすると、等速円運動の運動方程式は、

で表される。

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ここで、公転周期を とすると、角速度と周期の関係から

が成り立つので、これを運動方程式に代入すると、

を得る。ここで、ケプラーの第三法則 より、定数 を用いて

が成り立つので、 を消去すれば、

となる。つまり、惑星にはたらく引力は、惑星の質量 に比例し、軌道半径 の2乗に反比例することがわかる。

ここで作用反作用の法則より、太陽は惑星から同じ大きさで逆向きの引力を受けていると考えられる。するとその力は、太陽の質量にも比例しているはずである。

ニュートンはこれらの考察をまとめ、天体に関わらず、一般に2つの物体は常に引力を及ぼし合っており、その大きさは両者の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例すると結論づけた。この引力のことを万有引力という。

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よって、2つの物体の質量を 、距離を とおくと、万有引力は上で見たように、次の形で表される。

ただし、 は物体によらない定数で、万有引力定数と呼ばれ、その値は

である。

物体に大きさがある場合には、どこの距離を測るかが問題になるが、一様な球体の場合は、全質量が中心に集まったものをみなしてよく、物体間の距離 中心間の距離を用いれば良い。

重力との関係

2つの物体は常に引力を及ぼし合っているということは、これを読んでくださっている方は、周りのもの全てから引っ張られている人気者である(上で見た通り、万有引力定数はとても小さいので、感じないだけ)。そこらへんのお饅頭からも引力を受けている。

ということは、地上にいる我々はもちろん地球からも万有引力を受けている。「あ、でもそれって重力なんだよね」と考えたくなるが、実はそうではなく、重力と万有引力は少し違う

物体を地上で見ると、地球は自転しているので、それによる 遠心力 を受けている。厳密には 「重力」というのは、地球からの万有引力と自転による遠心力の合力である。

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なので、万有引力は地球上どこにいても(地球を球だと仮定すると)値は変わらないが、遠心力は赤道上で一番大きくなり、このとき万有引力とも反対向きとなるので、重力は赤道上で一番弱くなる。

実際には赤道上でも、遠心力は万有引力の 程度しかないため、通常は重力は万有引力と等しく、重力の方向(鉛直線)は地球の中心を通ると考えて良い。

そして、重力=万有引力の式を立てれば、重力加速度の値が求まる。物体の質量を 、地球の質量を 、地球の半径を 、物体の地上からの高さを とすると、

と求められる。地表から離れていくと、重力加速度は小さくなるが、基本的には なので、特に条件が与えられてなければ、 と考えて

と立式することも多い。

補足

なんかクーロンの法則と形が似てるなあと感じた方もいるかもしれない。確かにおすぎとピーコくらいは似ている。

このように、分母が2乗になっているような法則(逆二乗則)は多数あり、なぜそのような法則になるのかについては、このヨビノリさんの逆二乗則の解説動画が詳しいので、ぜひこちらで深めて理解しよう。

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